#読書

浅田次郎 中原の虹

浅田次郎の三部作、蒼穹の昴、珍妃の井戸、中原の虹をやっと読み終えた。 フーッ。 ホントに長かった。 主要な舞台は清朝の末期から中華民国の創成期まで。 「蒼穹の昴」は極貧の農村出身の宦官・李春雲と西太后が物語の中心にあり、 「珍妃の井戸」は光緒帝…

平林靖敏「東京まちかど伝説」

ちょっとした本屋には写真集の棚があるが、たいていスペースは狭い。 さらにそこに並ぶ写真集は自己主張の強いものが多くて、 こっちの気分とうまくマッチするとは限らない。 ということで本屋で気に入った写真集に出会うということは滅多にない。 いきおい…

佐藤秀明 雨のくに

佐藤秀明の写真集「雨のくに」がいい。 雨にうたれる花々、風に流れる驟雨、湖面にひろがる雨脚、 そぼふる雨にぬれた路地、雨上がりの草露。 「雨は僕にささやきかけてくる。“さあ撮りなさい。 向こうにもっといい雨がありますよ。 さあカメラを持って出か…

写真集 「林檎の里の物語」

吉村和敏の写真集「林檎の里の物語 カナダ アナポリス・ヴァレーの奇跡」は自然と人の優しさにあふれた写真集だ。 アナポリスはカナダから大西洋に突き出したノバ・スコシア州にある。 この写真集はリンゴの花が咲き乱れる季節で始まる。 リンゴの花のやさし…

用心棒 on Google map(公開バージョン)

Hさん 藤沢周平「用心棒日月抄」を久しぶりに読み返しました。 たぶん4回目か5回目になると思いますが、やっぱり面白い。 読むだけではもったいないので、青江又八郎の行動を Googleマップの上に記録してみようと思い立いたちました。 これを実行するには…

佐藤雅美という作家

おとといから佐藤雅美の「当たるも八卦の墨色占い」を読んでいる。 佐藤雅美にはいねむり紋蔵とか八州回り桑山十兵衛とか、縮尻鏡三郎など幕府の下級官僚を 書いた作品が多い。紋蔵はお書物同心例繰方、十兵衛は江戸の外、関東一円の取締同心、 鏡三郎は大番…

浅田次郎 霞町物語

浅田次郎の霞町物語を読み返した。 青山墓地の近くにあった霞町に住む写真屋家族の物語。 口の悪い写真職人の祖父、粋で華やかな祖母、 養子で山岳写真家の父、とりなし名人の明るい母、 そして落ちこぼれ高3の僕の恋と出会い、そして分かれ。 祖母の秘めら…

妖精が舞い下りる夜(アンジェリーナ 君が忘れた靴 その2)

図書館で小川洋子のエッセイ集「妖精が舞い下りる夜」(93年)をパラパラ見ていたら、 次のような文章があった。少し長いけど引用してみる。 「ふと流れてきた音楽(中略)の中に、以前読んだ小説のシーンがオーバーラップするということは、 その小説が確…

写真集 山古志村ふたたび

図書館で見つけた写真集「山古志村ふたたび」がすばらしかったので、 AMAZONですぐに手に入れた。 中条均紀という人の作品で、中越地震の前に撮影したものを、 復興応援という形で出版したものらしい。 棚田を中心にした村民の暮らしがていねいに写し…

珍妃の井戸

「蒼究の昴」に続く浅田次郎の清朝ものの第2弾(1997年)。光緒帝の愛寵珍妃が義和団事変の中で井戸に投げ込まれて殺された事件の謎解き物語である。 事件の背景を知ると思しきNYタイムズ記者、元高級宦官、袁世凱、珍妃の姉などの証言を中心に話が進むが、…

古道具 中野商店

川上弘美 角川文庫 平成20年発行 川上弘美の本は「先生の鞄」に続いて、二冊目。 格別熱心な読者というわけではない。 「先生の鞄」も、娘が読み終わってそのあたりに ほってあったのを、ほかに読む本がないという休日に たまたま手に取ったという程度であ…

草原からの使者

ごぞんじ浅田次郎「沙高楼綺譚」の第二弾。 2005年の出版。 功なり名を遂げた各界の名士が南青山にある沙高楼に集い、 自らの不可思議な体験を交代で語るという形で話が進む。 浅田一流のしゃれたストーリテリングで、あきさせない。 「宰相の器」は時々…