草原からの使者

ごぞんじ浅田次郎「沙高楼綺譚」の第二弾。
2005年の出版。

功なり名を遂げた各界の名士が南青山にある沙高楼に集い、
自らの不可思議な体験を交代で語るという形で話が進む。
浅田一流のしゃれたストーリテリングで、あきさせない。
「宰相の器」は時々週刊誌にも出る政界と占い師、霊能者の
繋がりの話、「就寝名誉会員」は江戸時代から続く財閥
最後の継承者が英国のギャンブルに絡めとられる話、
「草原からの使者」はあのハイセイコーが負けたダービーで
馬券を当てた男の物語、「星条旗よ永遠なれ」は「男の
最終回」にまつわるお話となっている。
第一弾に比べて、どこかで聞いたような話という印象は
残るが、その中で「蒼顔からの使者」は作者の馬を見る
目というか、馬の表現が冴えていて、読み応えがある。

こんな時にこんなふうに読みたい:
 家族のいない休日の午後、ソファーに横になり、カップ
 いっぱいのコーヒをテーブルにおいて、本を手に取ろう。
 そこにはゆったりとした時間が流れる。