浅田次郎 霞町物語

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浅田次郎の霞町物語を読み返した。
青山墓地の近くにあった霞町に住む写真屋家族の物語。
口の悪い写真職人の祖父、粋で華やかな祖母、
養子で山岳写真家の父、とりなし名人の明るい母、
そして落ちこぼれ高3の僕の恋と出会い、そして分かれ。

祖母の秘められた過去、特攻隊でなくなった叔父、移り変わる町、
全てを引き受け生き抜いてきた祖父、
そういったものが霞のかなたから姿を現し、人とともに消えていく。
霧の中をさまようように正気とボケの境を歩いていた祖父も、
写真館のソファーの上で眠るように死んでいく。

ウーン、いつ読んでも泣かせる。
世の中に面白い本は数限りなくあるが、二度三度と読みたくなる
本はそうはない。
そういう本にめぐり合えるのは幸せなことだ。