平林靖敏「東京まちかど伝説」

ちょっとした本屋には写真集の棚があるが、たいていスペースは狭い。
さらにそこに並ぶ写真集は自己主張の強いものが多くて、
こっちの気分とうまくマッチするとは限らない。
ということで本屋で気に入った写真集に出会うということは滅多にない。

いきおい私の場合、写真集は図書館で探すことになる。
図書館には新しく出版されたものが少ないかわりに、
本屋に並んでいないような古い写真集があるのが魅力だ。
棚の中から面白そうなものを探し、借りてくる。
その中で自分でも欲しいなと思うものは、Amazonで購入する。
以前に書いた師岡宏次の「想い出の武蔵野」や佐藤秀明の「雨のくに」は
そうやって手に入れた。

最近借りた平林靖敏「東京まちかど伝説」(岩波書店)は、
元新聞カメラマンが定年後すぐの2000年正月から2005年5月まで、
東京中をひたすら歩いて記録したものだ。
昭和の東京、消えゆく東京という視点に特別新しいものはないが、
おそらくサラリーマン時代からこういうものを撮り歩くのを夢と
していたのだろうと感じさせて、身につまされる。

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