大浮世絵展(1)

 

東京江戸博物館で浮世絵展が開かれている。
浮世絵の発展の歴史に沿って沢山の絵が展示されている。

この展示のいいところは、状態のいい絵を世界中から集めていることだろう。


例えば写楽の「蝦蔵」。

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蝦蔵の背景に、小さなきらめきが広がっている。
雲母を使ったキラ摺り(雲母摺り)である。
いままで展覧会でいくら目を凝らして見ても分からなかった
江戸のきらめきが見える。

 (当然ながら上の写真をいくら眺めてもキラリは見えません w 。
  関心のある方は会場へ)



中でもすばらしかったのは春信の「雪中相合傘」。

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白と黒の鮮やかな対比。
やわらかな線。

白の衣装の袂に升目の柄が見える。
「空摺り」である。

色を乗せていない版木に紙を重ねて強く摺ると、紙に
凹凸ができる。
その陰影によって模様を浮き上がらせる技術である。


傘の上や下駄の下の雪は、「極め出し」で表現されている。
紙を裏から強く押して、紙を盛り上げる技術。
雪だとか、女性のやわらかな線を表現するために使われた。

江戸の職人技というか細部へのこだわり様は、見る者を驚かせる。



話は前後するが写楽の蝦蔵、かなりデフォルメした絵に見える。
実際はどんな顔だったのだろうと、誰もが一度は思ったはずだ。

会場にはもう一枚の蝦蔵がある。
国政の「市川鰕蔵の碓井の荒太郎定光」である。

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目鼻口、そして顔の造形が瓜二つだ。
歌舞伎の世界は門外漢なので間違っているかもしれないが、
私には同一人物に見える。