「火の鳥」の完結

 

先週末、図書館で本探しをしていたら、手塚治虫火の鳥が並んでいた。



私は朝日ソノラマから発刊されていた単行本で「火の鳥」に親しんだ。

ポツリポツリと発刊される本を心待ちにして読んでいたが、
望郷篇あたりを最後に火の鳥とは縁が切れた。

手塚がその後も作品を書き続けたのか、物語が完結したのかも知らないまま、
月日がたった。
そして心のどこかにひっかかるものが残っていた。
あの話はその後どうなっただろう・・・



図書館にあった本をごっそりと借りて来て、一週間かけて読んだ。
文庫本の小さな文字は老眼には少々こたえたが、なんとか読み切った。


火の鳥」は輪廻の物語である。
輪廻には終りが無い。
未完のままに終わっていても不思議ではない。
手塚なら未完のまま終わらせるだろう、という予感のようなものを
持ちながら読み進めたが、火の鳥は「太陽編」で完結していた。


太陽編は天智天武期と21世紀を舞台にして、
権力闘争、宗教紛争を繰り返す我々の世界、
争いに翻弄される二つの若者の愛を描く。
結末では別々の話と思われた二つの愛が一つの物語に昇華し、
若者たちは永遠の愛を獲得する
死・輪廻という永遠の時の中で。

まああっけないというか、無理にオチをつけたという印象も残るが、
手塚らしさ満載の完結編ではあった。

そして私の中に残っていた「ひっかかり」はひとまず消えた。