懐かしい街(2)

 
 
盛岡の祖父母の家は商家の並ぶ通りに面していた。

再開発が進んでしまってほとんど面影は無いが、
近くの紺屋町周辺にはまだ古い町屋が散在している。


イメージ 1 (上の橋付近)




イメージ 2




イメージ 3 (茣蓙九)




祖父母の家も近所の家も、通りに面した壁は格子で覆われていた。
ガラス戸をあけて中に入るとカギ形の土間があり、
板の間が広がっていた。
板の間に商品を並べ商売をやっていたこともあったらしい。


イメージ 4(南部鉄瓶釜定の店内)



土間のひんやりとした空気、土の匂いを今でも覚えている。

板の間の奥に居間があった。
部屋の一角に四角い火鉢が据えてあり、祖父と祖母は、
そこに陣取ってキセルにつめた刻みタバコをスパスパ吸っていた。

大人の世界から届く少しいがらっぽくて甘やかな匂い。
高い天窓から差し込む日の光の中を紫色の煙がゆっくりと登っていく。



祖父母の家はとうに無くなり、今は駐車場になっている。
まわりの家もほとんど記憶には引っかかってこないが、
石屋だけは健在であった。

イメージ 5