広重名所江戸百景 -「都心河川「百景」クルーズ」 (その2)

 
万世橋の先の昌平橋をくぐると、御茶ノ水の渓谷に差し掛かります。

最初に目に飛び込んでくるのは聖橋の美しいアーチです。

イメージ 1

左側の崖の上には中央線・総武線が走っており、アーチの付け根あたりに
御茶ノ水駅のプラットフォームがあります。

一方アーチの右端にウグイス色の橋げたが見えています。
この下を昌平坂がくぐっていますが、高い位置にあるので船からは見えません。


広重はこの位置から見た景色を描いています。(47景 昌平坂聖堂神田川

イメージ 2

緑が濃く、雨模様ですので、季節は梅雨の頃のようです。
右岸に見えている坂が昌平坂、坂に沿って湯島の聖堂の練塀です。
明治になってから、ちょうど坂を登り切ったあたりに聖橋が架けられました。


少し先を急ぎましょう。
聖橋の次は御茶ノ水橋。
この橋を左にいくと神田の古本屋街があります。

イメージ 3



この先は御茶ノ水でも一番谷の深い所で、川筋もS字のようにうねっています。
ちょっとした渓谷のような味わいがあります。

イメージ 4

御承知のように、神田川は江戸の初期、神田山を削って作られました。
工事を担当したのは伊達正宗。
船で走ってみて始めて気がついたのですが、この川、結構曲がりくねっています。
普通人工の川は真っすぐに作られますが、どうしてこんなに曲がりくねった川に
したんでしょう。 
江戸の防衛にとくに有利とも思われない。謎です。


間もなく水道橋が見えてきます。

イメージ 5

橋の両岸、手前側が一段高くなっています。
ここに神田上水の掛樋(水道橋)が掛かっており、江戸の市中に上水を供給していました。

イメージ 6


(注)神田上水は井の頭の池を水源とし、関口で分流、水戸藩上屋敷を経て、再び
この地で上下に交わって市中に流れていました。

(次回に続く)