岩合光昭 「サバンナからの手紙」

この写真集には1982年から2年間、タンザニアセレンゲティ国立公園で
撮った動物の写真が集められている。

写真集の最初の写真はライオンがヌーに襲いかかる直前の写真である。

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全力で追いすがるライオンの迫力と、最後に振り返って懸命の反撃の姿勢をとる
ヌーの姿がとらえられている。
図書館でこのページを開いた瞬間、この写真集に魅せられてしまった。


ライバルのオスに放ったシマウマの蹴り、ライオンがライオンを殺すシーン、
空中を飛ぶように駆けるインパラたち、どれもが生命の躍動する瞬間を
見事にとらえている。


カメラでなければ捉えられない一瞬。
写真に写し取られた生命の輝き。
小説や映画と同じように写真もまた「表現」の有力な手段であることを
実感させてくれる、素晴らしい写真集である。

(注)この写真集は第16回講談社出版文化賞を受賞している。