映画 山桜

本日封切の山桜(藤沢周平の原作)を大泉Tジョイで見てきた。
しっとりとした、いい映画である。
残雪の残る月山、雪解け水、棚田、そして山桜が美しい。

東山紀之の弥一郎がいい。
寡黙な武士を好演している。
一度は結婚を申し込み、今は他家に嫁いでいる野江を
ひそかに思い続ける男、悪政と飢饉に苦しむ農民に心をよせ
一人立ち上がる武士。

賢いことに監督は後者の弥一郎を描き、
二人の愛を野江(田中麗奈)の側から描く。

嫁ぎ先で不幸な目にあう女、それを暖かく見守り、
救い出す男(幼馴染)、というパターンは
藤沢周平の小説にはよく出てくる。
たそがれ清兵衛の清兵衛と朋江、蝉時雨の文四郎とふく、
隠し剣鬼の爪の宗蔵ときえ。
松たか子のきえ、宮沢りえの朋江には少し及ばないけど、
田中麗奈の野江も凛としてなかなかだった。

それにしても藤沢周平ほどの名手がどうして同じテーマを
繰り返し取り上げたのだろう。