石巻 長面地区
再び車に乗って、さらに北上川の右岸を河口方面へ向かう。
右手に内海が見えてきた。
ここは長面浦といって良質のカキが採れるという。
![イメージ 1](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/svsv/20191007/20191007155619.jpg)
正面には右手方向から伸びる岬が見える。
岬の向こう側は追波湾である。
岬の手前の水路は長面浦と追波湾をつないでいる。
水路に設けられた仮設の道を渡って、岬側に渡り左に曲がる。
そのまま、50mほど進むと、道は海中に消えている。
(地図の赤丸の付近)
青年は車を止め、しばらく正面を見つめた。
そして指差して言った。
「我が家はあのあたりで民宿をやっていたんです」
そこには水面が広がっていた。
人が住んでいた痕跡は見当たらない。
彼の母親もそこで犠牲になった。
津波が全てを流し去った。
それがどんなにすさまじいものだったか、
部外者には想像もできないが、GoogleEarthで
その変わり様を確認することはできる。
2011年11月
![イメージ 2](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/svsv/20191007/20191007155623.jpg)
2011年3月
![イメージ 3](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/svsv/20191007/20191007155626.jpg)
岬の先端付近に広がっていた土地は跡かたも無く消え、
これらをのみ込んだ海水は画像左下の大川小学校の付近まで入りこんでいる。
現在、青年は少し離れた場所で祖母と一緒に小さな料理屋を営んでいる。
いずれ民宿を再開することを考えているという。
彼の夢が実現する日が来ることを心から願う。