東京の香り

　
今年も庭の金木犀の花が咲き始めた。
雨戸を空けると、甘い香りがどっと飛び込んでくる。

この季節に近所を散歩すると、漂ってくるのは銀杏の香りか、金木犀の香りだ。
両方ともかなり強い匂いだが、もちろん金木犀のほうがずっといい。

もう10年近い前のことだが、小金井公園にある「江戸東京たてもの園」に出かけたとき、
匂いに誘われて近づくと、小さなオレンジ色の花をいっぱいに付けた大きな木があった。
その木の下に金木犀という小さな看板がたっていた。

これが金木犀を実際に見た最初だと思う。
子供の頃に見たことはないし、北関東に住んでいた頃も匂いを嗅いだ記憶は無い。

私にとって金木犀は東京の香りである。