連はすこしづつ移動しながら、踊りを続ける。
終盤近くになってその流れが止まると、今までとは違った
踊りを見せてくれる。
この夜は新粋連という連が目の前で演じた。
やがて男女がペアになって踊りはじめた。
男は地面にしゃがみようなかっこうで踊り、
女に向かって手を差し伸べる。
女はその上で
ゆらりゆらりと踊り続ける。
ほの暗い夜の空間でゆったり続く踊り。
夢のような、男女の交歓のような踊りに
観客もすっかり心を奪われている。
阿波踊り本来のスタイルなのかどうかは分からないが、
しっとりとした踊りは神楽坂という土地柄にふさわしい。
踊り終わった瞬間、あたりは心からの拍手につつまれた。