テレサテン

 
朝日新聞の日曜版にテレサテンの「時の流れに身をまかせ」が取り上げられていました。

テレサテンには「つぐない」だとか「愛人」というヒット曲もあり、
日本では歌謡曲系の歌手というのが一般的な受け止め方だと思います。

私の認識も似たようなものでしたが、あるとき中国語のアルバム「淡々幽情」を聞いて
すっかり気に入ってしまいました。

iPhoneに入れて、夜寝るときに聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな
音量で流します。
テレサテンの甘くて優しい声がゆったりと流れていきます。
昼の仕事でささくれだった気持ちが解きほぐされていくのを実感できます。
そんなこんなで、このアルバムは私にとって子守唄のような存在になっています。

中国語は全く分かりませんが、一曲目の「獨上西樓」というタイトルは見覚えがあります。
昔漢文で見たんじゃないかと思って調べると、ありました。
「獨上西樓」は南唐の皇帝李煜(りいく)の詞「烏夜啼」の一節です。




このアルバムに収められている他の歌も蘇東坡など宋の時代の詞に曲を付けたものです。
南唐とか宋というと、日本でいうと平安時代から鎌倉時代
いってみれば淡々幽情は古今集新古今集の和歌に曲をつけたようなものです。
それでいて古いという感じは全くしません。
テレサもいいし、オケの演奏もいい。

このアルバムの発売は1983年ですから、もう30年近い昔のものです。
テレサにこんな素晴らしいアルバムがあるなんて最近まで知りませんでした。
このアルバムに巡り合えたことを本当にうれしく思っています。

(注)ネットで検索してみると、テレサテンの最高傑作という評価も多く見かけます。
   自分の不明を恥じるばかりです。