逢坂剛 「おれたちの街」

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逢坂剛お茶の水警察署シリーズ第4弾である。

舞台は神保町、小川町、猿楽町など、お茶の水の高台から坂下の神田一帯。
御茶ノ水警察署保安二係の斉木斉と梢田威は小学校からの幼馴染である。
さぼることばかり考えている腕力派の梢田と要領がよくて頭脳派の斉木は
喧嘩を繰り返し、足を引っ張り合いながらも、離れられないコンビ。

大きな事件が出てくるわけでもないし、二人が大活躍するわけでもない。
このシリーズの魅力は二人を中心とする登場人物の会話と、神田という町の描写である。
この神田は逢坂が事務所を構える場所だけに、路地や坂の景色、町に住む人の
息遣いがリアルに描かれている。

たまたまこのあたりは私の仕事場とも重なり、東京に出てきたころに
休日に自転車で走り回った場所でもある。
シリーズに連なる本が出るたびに今度はどこが出てくるかと楽しみに
ページをめくる。応援にも力が入る。

逢坂の警察ものにはアウトローを描いた禿鷹シリーズもあってこれも面白いが、
お茶の水シリーズはもっと日常的で明るい。
藤沢周平の用心棒日月抄のような位置づけ、といったら少し褒めすぎか。

大部の小説に読み疲れた時にどうぞ。