藤沢周平の地理感覚

藤沢周平「用心棒日月抄」の主人公の行動軌跡をGoogleMap上に
記録する話を先日書いた。
もちろんお遊びである。

その時できていなかった4話以降の行動も記録してみた。
(第8話は川崎、第10話は北国の旧藩まで足を延ばすので除外。
 第4話は寿松院と吉蔵の家をつなぐ道、神田川沿いの狭い
 地区で発生するので省略)
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地図上の軌跡を見ていると、気づくことがある。
1)話の舞台がすべて主人公の住む裏店からみて南側にある。
2)各話の依頼主の家や事件現場は口入屋吉蔵の家を中心に、
  時計回り、あるいは反時計回りに分散している。
   第一話は東、第二話は南、第三話は西、第四話は北 → 時計回り
   第五話は西、第六話は南、第七話は東       → 反時計回り
   第八話は南、第九話は東、第十話は北       → 反時計回り
3)行動範囲がせいぜい4-5kmと短い。

これは藤沢周平の江戸に対する地理感覚、あるいは小説の舞台設計における
空間感覚なのだと思う。
どうしてこういう感覚を持っていたのか、私なりの意見もあるが、
それはこの次に書こうと思う。

時間と暇のあるかたはぜひ想像をめぐらせてみてください。