「野良犬」の舞台

先日黒澤明の「野良犬」を見た。
1949年の映画だから60年前の映画だ。
刑事が盗まれた拳銃を取り戻すためにかけずり回るというだけの映画だが、
スピード感と緊張感が抜群で、「七人の侍」と並ぶ娯楽映画の傑作である。
クライマックスに犯人を刑事が追い掛け回すシーンが出てくる。
その撮影が大泉学園近辺の雑木林で行われたことは良く知られている。
終戦からいくらもたっていない時期ではあるが、東京近郊と思えないほど
草深い田舎である。

映画を見てしばらくして、中学生の頃に大泉学園の大叔父を父に一緒に
たずねたことを思い出した。1960年代の前半のころだ。
大泉学園駅から北の向かって歩いた。
今のJA大泉よりもう少し北のあたりに大叔父の家はあった。
近所に何軒か新しいうちがあったが、その外には畑がずっと
広がっていた。
歩いてきた道の方角に大泉学園の駅が見えていたような気がする。

このころはまだ、このあたりも「野良犬」に出てくるような雑木林と
畑が入り混じった場所だったのだろう。