真夏の引っ越し



猛暑の最中、引っ越しの準備でドタバタが続いている。
あと数日で石神井を引き払い、横浜に引っ越しをする。

東京に出てきて10数年、最初の1年は池袋に近い東長崎で単身生活をしたが、そのあとは石神井でずっと暮らした。


石神井池のほとりの借家は築50年を超える古い家で、天井が低く、心柱には長い亀裂が入っている。
東京の古民家暮らし、と笑っていたが、3.11の時は肝を冷やした。
大手町のビルの大揺れのあと家と連絡が取れず、潰れてしまったのかと本気で心配した。幸い持ちこたえてはくれたが、妻や娘は必死になって屋外に逃げた。

それでも都心に出るのが便利で、緑にも恵まれたこの家が存外気に入って、それからも住み続けた。

江戸100景巡りもこの家から出かけたし、秩父や北関東の家に帰るのも便利だった。

夜の公園散歩も楽しかったし、桜や鳥の写真をたくさん撮った。
石神井の古写真を集め、撮影ポイントを探したり、今昔の比較をする事も楽しかった。
そして娘二人をこの家から嫁に出し、孫達を迎えた。

最終コーナーに差し掛かっている会社生活もこの家と共にあった。この家に入った頃に始まったプロジェクトは、事業のグローバル化を支える基幹システムとなった。

このプロジェクトには多くの仲間が集まり、力を貸してくれた。
中でもプロジェクトに最初から参画し、運用開始の直後に病に命を奪われたK君のことは忘れがたい。


今決めかねている事がある。
石神井の名をかぶせたこのささやかなブログをどうしようかという事だ。

引っ越しのドタバタが収まる頃までになんらかの結論を出そうと思う。