夏休み(1)

 

我が家の避暑と言えば軽井沢でもなく、ハワイでもなく、
北関東の自宅に帰ることだ。


海辺の町にある我が家は、東京から行くとまるで別天地だ。
外の日差しは強いが、木陰や家の中はひんやりと気持ちがいい。
夜は窓をあけて寝る。
うっかりタオルケットを蹴飛ばすと、明け方にブルッときて目が覚める。

今年の夏は私とかみさんの外に、娘の家族もこの家で夏休みを過ごした。
でも特別なことはなにもしない。

娘たちはショッピングセンタに出かけ、
私は庭の雑草や植木の枝と格闘する。

かみさんは近くの直売所で茄子、キュウリ、トマト、枝豆、
トウモロコシをどっさり買って、夕べの食卓に並べる。
そして娘夫婦は焼き肉やゴーヤチャンプルー、私はカツオの刺身で一杯やる。

食卓の中心は1才半になったRだ。
いたずらを覚え、大人にちょっかいを出して喜ぶ。
言葉はまだまだだが、感情の起伏や喜怒哀楽はもう一人前である。


酔った頬をヒンヤリした風がなでていく。
裏山でひぐらしがいっせいに鳴き始め、空が黄金色に輝いた。


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