大木茂 「汽罐車-よみがえる鉄路の記憶1963-72」

 

私には鉄っちゃん趣味はないのだが、この写真集は素晴らしい。

機関車ではなく汽罐車。
汽罐すなわちボイラに車輪を付けたもの。

この写真集には汽罐車が吐き出す煙とスチームが溢れ、
見る者を圧倒する。

3月に出たばかりの写真集なので、転載はよくないのだが、
本書の魅力を知ってもらうために1枚だけお許し願おう。


イメージ 1



どうですか。この煙。
縮小しているので写真集のもつ力強さはだいぶ減っているが、
それでもすごい。

環境環境とうるさい今ではとても信じられないような景色。
煙の下の作業者は、しゃがんで煙を避けてはいるが、
逃げる様子は無い。
こういうのが当たり前の時代がたしかにあった。


新幹線が開通したのが1964年、世は高度成長時代で、蒸気機関車
消えていく時期にあたる。
若い著者は列車に寝泊まりしながら撮影ポイントを辿り、数々の
写真を残した。


鉄ちゃんはもちろん、そうでない人も、ぜひ一読あれ。



以下は蛇足:

上の写真を見た時、見たことがあると感じた。
キャプションに目をやると東北本線一戸駅とある。
どうりで見覚えあるはずだ。
ものごころがついた頃から小学校に入るまでの間、
この駅のすぐわきにあった家で暮らしたのだった。

この写真を見ているといろいろなことが蘇ってくる。

汽車の煙のにおい、
貨物列車の連結器の連鎖音、
機関区に並ぶ蒸気機関車
そして家族のこと・・・・