訃報

 

8月の終わりに 「ジョブスの引退 - 一つの時代の終わり(1)」を書いた時は、
こんなに早く訃報を聞くことになるなんて考えてもみなかった。
続きを書こうと思って「(1)」としたのだけれど、忙しさを口実に
結局放っておいた。

そして本当に時代は終わってしまった。



1999年だったか2000年だったかもうはっきりはしないが、
ジョブスが幕張のMacWorldでプレゼンテーションをやったことがある。

冬の寒い日だった。
幕張メッセの前には長蛇の列ができていて、私もその列に並んだ。

ジョブスが復帰してカラーのiMacをヒットさせ、Appleがようやく一息
入れた頃だった。とはいえ当時はWindowsの全盛期、Macユーザというと
おたくっぽく見られたり、Macフリークと呼ばれていた。

それほど大きくも無い会場に、ジョブスはジーンズにセータというスタイルで現れた。
比較的穏やかな表情で、創業の頃の写真に比べて、ふっくらした感じがした。
そして少し甲高い声でカラーiMacについて語った。

イメージ 1
(自分で写した写真が見つからなかったので、ネットから転載)

プレゼンの中身はもう殆ど覚えていないが、新しい内容は無く、one more thing
も無かった。
それでもコンピュータの世界に革命を生み出した男が目の前にいる、それだけで
何かゾクゾクするようなものを感じた。

そしてこの男なら、もう一度MicroSoftをそして世の中をギャフンを言わせる
製品を出すかもしれないと感じたことを思い出す。

Apple快進撃の始まりであるiPodが発売されたのが2001年だから、
まさにあの頃その開発を進めていたに違いない。



56歳。
若すぎる死だけれど、君はもう十分に生きた。
我々の何倍も濃い充実した人生を送り、光り輝いて天空に去っていった。