広重名所江戸百景(3) 第58景「大はしあたけの夕立」

 
ツアー初日(4月4日)、三か所目はシリーズ代表作の一つ、「大はしあたけの夕立」です。

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「夕立ちの中の新大橋を西岸から描いている。
 影絵のように見えているのは、大川東岸の幕府御船蔵。
 その昔、将軍の御座船「安宅丸」が川岸に繋がれていた縁で、この付近を
 あたけと言った」

以上コンダクターの受け売りでした(笑)。

切絵図上では緑の丸印付近から見た絵になります。
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橋が完成したのは元禄元年、芭蕉奥の細道に旅立つ前の年のことです。
芭蕉は「ありがたや いただいて踏むはしの霜」という句を残しています。


現在、新大橋は100mほど上流に移動し、絵の方向を見ても橋の姿はありません。

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写真の背の低い倉庫のあたりが江戸新大橋の東詰だったそうです。
絵中の火の見櫓はちょうどDCカードの看板がある辺り、御船蔵はその左側でしょう、たぶん。

東京スカイツリー」が建物のかげに姿を見せています。
まさしく、平成の火の見櫓ですね。



「大はしあたけの夕立」には個人的な思い出もあります。
まだ世の中に白黒のプリンターしか無かった頃、カラーインクジェットプリンター
開発に携わったことがあります。
私はそのプリンターを使ったカラー文書編集システムの開発を担当していました。
そのとき文書に埋め込むカラーイメージとして選んだのがこの「大はしあたけの夕立」です。

今ならカラードキュメントを作ることは簡単にできますが、当時はシステム全てが手作り。
色の再現性、絵の解像度、フォントの拡大縮小、次々に課題にぶつかりましたが、
ワクワクしながら技術開発をやっていました。

この絵を見ると、開発メンバーの顔や徹夜で作業をした時のことが目に浮かんできます。